GTL(Gas to Liquid)
Shell GTL技術で製造される商品は、燃料から潤滑油基油まで幅広く、GTL灯油留分からは航空機向け燃料,GTLガスオイル(軽油)留分からは排出ガスがクリーンな燃料,GTL ノルマルパラフィン留分からは洗剤原料,GTL ナフサ留分からは化成品原料,GTL 基油留分からはGTL 基油が製造されています。
現在世界中のShellグループがGTL由来の商品をグローバルで販売させていただいています。特にGTLベースオイルはAPI グループIIIに属する合成油100%として様々な特徴があります。
01
粘度指数が高く流動点が低い
通常の鉱物油と比べて、粘度指数が高いのが大きな特徴のうちの一つです。通常、潤滑油は温度が低いと固まりやすく、温度が高いと粘度が薄く(シャバシャバな状態)なる特徴があります。粘度指数とは温度に対する粘度変化を指数で表していて、粘度指数が高いと「温度が変わっても粘度変化を起こしにくい」という性質を表しています。粘度指数が高いこと以外にも、100%化学合成であるGTLは、高性能ベースオイルには必須の「イソパラフィン」が主成分で、さまざまなメリットを生み出しています。
02
蒸発特性に優れる
GTLベースオイルの特徴として蒸発特性があり、通常のベースオイルと比較して「蒸発しにくい」特徴があります。近年のエンジンオイルは省燃費のニーズが高まり、低粘度化(0W20や0W16など)と同時に、高い粘度指数が求められています。低粘度化のためには、当然低粘度ベースオイルを使用することになりますが、通常、低粘度のベースオイルは炭素数(分子量)も少なく蒸発しやすくなってしまいます。これが原因で、通常の鉱物系ベースオイルだと低分子領域のベースオイルが減っていくことになるので、オイル消費量も多くなってしまいます(蒸発減量)。結果として粘度増加、エネルギーロスの増大、潤滑の不備と繋がり、トラブルの原因になってしまいます。
03
添加剤の効きを最大限にする
GTLは天然ガスから合成することによって製造されるため、高純度な炭化水素を主体とした分子で構成されています。一方で通常の鉱物系ベースオイルには、精製された後も微量の窒素系や硫黄系の化合物が含まれてしまいます。それらが添加剤効果(酸化防止剤など)に影響し、元々もっていた添加剤の働きを弱めてしまうことがわかっています。GTLはそういった不純物が極めて少ないため、酸化防止剤が効果的にフリーラジカル(オイル中の酸化劣化–連鎖反応の元となる活性の強い原子/分子)と反応し、添加剤が本来持っている能力を十分に発揮し、酸化劣化を食い止めることができます。